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Fig. 1. 標準実験TPAが炎症反応を引き起こすモデルにおけるS100牛乳の抗炎症成分が炎症部位に対する効果の組織切片図(19, 20)。
TPA (12-O-teradecanoylpphorbol-12-acetate)をネズミの耳に塗って炎症反応を誘発する実験において、S100牛乳の抽出成分を炎症部位に塗ると、炎症を有効に抑制できるという機能を発見した(Fig. 1参照)。それで、その後のS100牛乳の開発は、よりいっそう深くS100牛乳の中の抗炎症因子の効果及び可能なメカニズムを研究した(12, 13, 14, 15 ,16)。
動物実験(12, 13)
Ormrodら(1992)はS100牛乳を限外ろ過(ultrafiltration)・サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)して得た物質を使って被験動物に抗炎症のテストを行い、S100牛乳から抽出された抗炎症因子 (Hyper Immune Milk Factor, HIMF)及びその効果を研究した。炎症がある場合、血管透過性が増加し、白血球が炎症部位へ移るというのは一般論であるが、実験においてこの抗炎症物質が好中球(neutrophils)が炎症部位へ移ることを抑制でき、その効果が75%に達することを発見した。それによって、炎症による浮腫(oedema)も改善された (Fig. 2参照)(12)。
よりいっそう抗炎症メカニズムを明らかにするために、Stelwagen ら (1998)は細胞培養でS100牛乳の中のHIMFが血管壁障壁 (tight junctions)の形成を促進できることを証明し(13)、血管壁障壁の形成が好中球の移動を抑制すると推論した (Fig. 3参照)。
Fig. 2. 対照群より、実験群の好中球数量と炎症による浮腫は統計上著しく低い(12)。 * p<0.01
Fig. 3. HIMFが血管壁障壁の形成に著しい役割を果たす(13)。 * p<0.05 ** p<0.01