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腸管は人体の主要な消化器官の一つである。食物は口腔、胃から小腸を経て、アミノ、ブドウ糖、脂肪酸などの小分子に消化・分解され、粘膜組織によって吸収され、循環系に入る。
腸管は人体の重要な免疫器官の一つでもある。全身の60~70%ほどのリンパ細胞は腸管内に分布し、網のような構造を形成し、腸管関連リンパ組織 (Gut-associated lymphoid tissue, GALT)と呼ばれている。その中には腸管から病原微生物が血管へ侵入することを阻止するパイエル板(Peyer’s patch)及び腸間膜リンパ節(Mesenteric lymph node)などが含まれている。食細胞、T細胞、NK細胞、B細胞といった腸管に集中した免疫細胞と腸管にある免疫グロブリンA(Immunoglobulin A; IgA)はともに腸管保護の役割を果す(4).
したがって、腸管の果たす役割は私たちの想像をはるかに超えて複雑精緻である。腸管は食物の養分を大量に吸収できるだけでなく、感染しないように口から入った外来の抗原及び病原菌(4)を正確に峻別できる。人体はしばしば外部の有害環境及び自己免疫のアンバランスで胃腸炎、下痢、甚だしく潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis)、クローン病(Crohn's disease)といった炎症性疾患(4)にかかる。このような腸管疾患にかかると、今後、何度も再発する恐れがあり、根本治療が難しい。
Fig. 1.人間の出生から高齢までの腸管細菌叢の変化(4).
腸管には500種以上、総数100兆以上の腸内細菌がある。その中に良い細菌も悪い細菌もあり、両者は競い合い、動的平衡状態にある(Fig. 1 参照) (4)。多くの医学研究では次のことが指摘されている。すなわち、腸内細菌叢がアンバランスの場合、動脈硬化、老年性認知症、悪性腫瘍といった成人疾患の発生率が大幅にアップし、身体の老化促進及び健康の低下に繋がる。また、癌の患者は薬物や放射線治療を受けるため、腸内細菌が動的平衡を取れないので、腸管感染あるいは食中毒など(日和見感染)になりがちである (5).
S100脱脂乳は豊富な特異的抗体が、抗体の活性が保たれた状態で含まれ、栄養成分が安定で、しかも天然の安全な機能性食品である。S100脱脂乳は腸管における悪い細菌の生長を有効に抑制し、健全な腸内細菌叢を促成できる。その上、S100脱脂乳はGALTにあるパイエル板(Peyer’s patch)のIgA含有量を増加し、腸管の病原菌に対する防衛機能を強化できる(6) .