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動物実験一(6)
Lin (2002)は被験動物を2つのグループに分けて、それぞれ一般脱脂乳(対照群)とS100乳タンパク濃縮物(Milk Protein Concentrate, MPC)(実験群)を飲ませた。6週間連続で飲ませた後、2グループの免疫機能指標の変化を観察した(6)。この動物実験により、S100 MPCがIgA抗体の産生を促進し (Fig. 2参照)、T細胞機能を調節し インターロイキン-4を低下(Interleukin-4, IL-4)、インターフェロン-γ(Interferon-γ, IFN-γ)を向上させ、T細胞をTh1に分化させ、ナチュラルキラー細胞Natural killer cell, NK cell)の活性を促進する免疫調整機能を持つことがわかった(Fig. 3参照)(6)。
Fig. 2. 対照群より実験群のIgA産生が統計上、著しく高い(5)。 * p<0.05
Fig. 3.対照群より、実験群のNK cell活性が統計上、著しく高い(6)。 * p<0.05
動物実験二(8)
Ishida ら(1992)は被験動物を2つのグループに分けて、それぞれ一般脱脂乳(対照群)とS100脱脂乳(実験群)を7日間連続で飲ませた上、それぞれγ線8Gyと6Gyで照射してから、動物の生存率を評価した。 S100脱脂乳を飲ませた被験動物の平均寿命は24.8日で、対照群の16.8日より長い(Fig. 4参照)。それに、その腸間膜リンパ組織 (GALT)の食細胞(phagocyte)の活性が向上し、腸内細菌 (Enterobacteriaceae)の数量を減少させた (Table 2をご参照)。その結果を見ると、S100脱脂乳が腸管に有害な細菌の侵入に対する腸管関係リンパ組織の抵抗力を強化し、放射線による被験動物の死亡と傷害を著しく減少できることがわかった。
●(Solid line)(実線)8Gy照射,実験群,●(点線)6Gy照射,実験群(S100脱脂乳を飲ませる)。
●(Solid line)(実線)8Gy照射,対照群,●(点線)6Gy照射,対照群(一般脱脂乳を飲ませる)。
Fig. 4.放射線量が異なった照射を受けた被験動物の生存率は、対照群より8Gy実験群が統計上、著しく高い(8)。 * p<0.01
腸内細菌 Means ± SD (log10 ) |
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コントロールミルク | S100ミルク | |
小腸 | 2.78 ± 1.34 | 1.33 ± 0.47 |
大腸 | 3.38 ± 1.23 | 2.32 ± 0.95 |
盲腸 | 3.62 ± 1.39 | 2.08 ± 0.85 |
Table 2. 動物の腸管の中の腸内細菌の数量は対照群より実験群が統計上、著しく低い(8)。 * p<0.05